「日朝首脳会談にぶつける不審船」

　北朝鮮のものと思われる不審船の引き上げが始まりました。どうやら、小泉訪朝の前に黒白が明らかになる模様ですが、もう、わかっていることでもあります。
　それはそれとして、いきなり、石川県沖に姿を現した不審船、あれは、なんでしょう。あれは、日朝が国交恢復に向けて動き出したその矢先の行動です。もちろん、国交恢復に関係のあることは、間違いありません。
　では、なんのために。　この方程式は、解いてみる必要があります。
　まず第一、これは、日朝首脳会談を失敗に導く意図のものか、第二は、成功をさらに、確実にしようとしたものか、です。
　失敗を意図する、としたら、それは、朝鮮側の利益に連なると彼らの考えることですから、小泉首相にいやがらせをする意味をあの不審船にみることは、可能でしょう。　日本よ。生なことでは、ないぞ。日朝会談を成功させたかったら、覚悟してこいよ。でないと、おれらの方は、これ、見て見い。こうやって、おまえらを脅かし続けるのだぞ。おまえらは、撃てない鉄砲なんかを持って、ザマァみやがれ。
　これならば、金正日の意図にもありそうな構図になってきます。
　すると、首脳会談は、なんだというのでしょう。
　それは、日本の最高指導者をはずかしめて、生活苦の朝鮮人民に、一服の清涼剤をあたえ、政治不信を緩和するためのものと言うことがありそうです。
　そうなると、空港から、金日成廟に伺候し、お許し下さいませ、命だけは、おた、おた、お助け下さいませ、そう詣るところを写真にする。これも欲しいところです。
　日帝の首領が、ついに前非を悔いて、建国の神金日成の墓に謝罪した。　これを実現した首領様金正日閣下の偉大な事よ。そうなれば、動揺ふくみの人心はたちまち収攬されるでしょう。そして、会談では、偉大な首領様にたしなめられて、ほうほうの体で、何物も得ないで帰国する小泉首相の、うなだれた写真を狙うでしょう。そのときは、北朝鮮の拉致ではなく、日本赤軍に誘拐された女の子の一人ぐらい土産にくれてやってもいいだろう。そんなことぐらいで喜び、ころこぶ、だらしない野郎なんだ。あいつらは。
　これならば、北朝鮮は万歳、そして、日本はコケにされたことになります。その上多額の賠償金でも出してご覧なさい。世界中の侮蔑を招くでしょう。
　同じ会談失敗でも、こういうのが、あります。
　それは、北朝鮮の軍部の統制が行き届かない場合です。
　すなはち、石川沖の不審船は、出先軍部が、独走したということです。　これは、金正日の指導力が、軍部の末端に届かなくなっているということになります。そして、軍部の強硬派が、首をもたげてきた、ということになります。それはもう内乱クーデターの可能性が生まれつつあるということになりそうです。ならば、金正日たるもの、逆に会談の成立と多額な賠償金的なものを狙うということになるでしょう。
　さて、第二は、会談の失敗を意識しているのではなく、会談での国益を不審船カードで増幅しておこうということになります。これは、日本政府の周章狼狽ぶり、なんとか、角を立てないで、日本国民がのどかでいてくれますように、という態度に、露骨に表現されることになります。
　それを見たからでしょうか。第二弾を繰り出してきました。それが、日の丸をつけた堂々たる政府専用機の乗り入れの禁止です。そうなると、首相が、訪問するにしても、プーチンや、江沢民や、諸外国の要人のように、セキュリティのきいた政府専用機で、威風堂々と乗り込んでくることは許し難い。日本の首相などは、セキュリティのうすい民間機で、小腰をかがめ、もみ手をしながらくるべきだ。素町人国家だろう、おまえたちは。
　相手は、このように、これでもか。これでもか、と、難題を押しつけてきます。それでも日本は偉大なる首領様にお目見えしたいんだとさ。えらいもんだ、おらはァの首領様は。そう国民に印象づけたいのでしょう。
　普通の国なら、そんなら行かないというでしょう。しかし、日本は普通の国ではありません。敗戦でひしゃげた卑しい国です。自虐を日常にしてきた国民です。そんな背景の中で、いかな強気の小泉首相でも、「止めた」とは言いにくいでしょう。官邸は、事を荒立てないように苦心している様子です。
　ならば、小泉首相は、何を、あの国からひきだしてくるのでしょう。
　それが、みものです。　さて、中国にいくことも決まった模様です。
　日本包囲網の動きに見えます。だんだん、日本は、やられていくような気になりかかりますが、そうではないことを祈ります。

　

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